目立たず矯正治療ができるマウスピース矯正の中でも、インビザラインは人気が高い治療法です。 しかし、矯正治療は決して安くありません。 せっかく高い費用と長い年月をかけて歯並びを整えるため、失敗はしたくないですよね。 ここでは、インビザライン治療の失敗例や原因を紹介しつつ、失敗しないための対処方法をお伝えします。
インビザラインの失敗例
インビザライン治療でよくある失敗例を3つ紹介します。
噛み合わせのバランスが悪くなってしまった
綺麗に並んでいる歯のみを求めてしまうと、噛み合わせが崩れてしまう場合があります。 噛み合わせが崩れてしまう理由は、マウスピースの装着により、マウスピースの厚み分だけ奥歯が先に当たるからです。 インビザライン治療では、マウスピースを1日20時間ほど装着するため、常に奥歯には圧力が加わります。 そのため、奥歯が沈み込んでしまい、噛み合わせのバランスが悪くなります。
顎関節症になってしまった
噛み合わせが不安定になり、顎に負担がかかりすぎると、顎関節症(がくかんせつしょう)になる可能性もあります。 顎関節症(がくかんせつしょう)になると「口が開けづらい」「口を開くときに不快音が鳴る」といった症状が起こります。 「硬い食べ物や大きい食べ物が食べれない」「顎の音によるストレス」などの弊害が生まれます。
歯茎が下がってしまった
矯正治療によって歯を引っ張ることで、歯茎が動きます。 そのため、歯茎が下がって、歯が長くなったように見えることもあります。 無理な力を加えすぎたり、マウスピースを適切に使わなかったりすると歯茎が下がりすぎてしまうため、治療計画に沿って適切に矯正を進めることが大事です。
インビザラインが失敗する6つの原因
インビザライン治療が失敗する原因は主に6つです。
- むし歯や歯周病がある
- 口腔内が清潔でない
- インビザライン治療に適さない症例である
- 装着時間が不足している
- マウスピースの交換時期を守らない
- 自己管理の甘さ
むし歯や歯周病がある
虫歯や歯周病があると、歯形が変化してしまい、マウスピースが合わなくなります。 歯に合わないマウスピースを装着しつづけても、矯正治療はできません。 そのため、治療前に虫歯や歯周病の治療を終えることが大事です。 また、矯正治療中に虫歯や歯周病が進行する可能性もあります。 矯正治療中に虫歯や歯周病などが症状が悪化すると、矯正治療を中断しなければいけません。 インビザライン治療はマウスピースを簡単に取り外しができるため、歯磨きをしっかり行い、虫歯予防も行ってください。 症状の悪化を防ぐためにも、歯医者へ行くときは、矯正の状態チェックと合わせて虫歯や歯周病などの診察も合わせて行いましょう。
口腔内を清潔に保てていない
マウスピースを装着している状態では、唾液が歯に行き渡りません。 唾液には、乾燥を防ぐだけではなく、細菌の増殖を防ぐ、口臭や虫歯、歯周病などのトラブル予防などの役割があります。 そのため、インビザライン治療中は、通常よりも口腔トラブルになる可能性が高まります。 特に、歯磨きを怠ると、虫歯や歯周病になりやすくなります。 矯正治療の妨げになるため、できるかぎり口腔ケアを行い、口の中を清潔に保ちましょう。
インビザライン治療に適さない症例である
インビザライン治療に適さない症例の場合、他の治療も並行して行わないと失敗の原因になります。
- 前後左右に顎がずれている場合
- 重度の不正咬合
- 抜歯が必要な場合
- 骨格的に問題がある
インビザライン治療に適さない場合は、ワイヤー治療やブランケット治療と併用することで失敗のリスクを下げることができます。
装着時間が不足している
インビザライン治療では、マウスピースの装着時間が20時間以上必要です。 1日20時間以上アライナーを装着することで常に歯に力が加え続けられ、歯が順調に動きます。 装着する時間が不足すると、治療計画通りに歯が動かず、矯正治療に時間がかかってしまいます。 マウスピースの装着時間は患者さまの自己申告になるため、計画通りの時間を装着することが失敗を防ぐポイントになります。 基本的に食事と歯磨き以外の時間はすべて装着するようにしましょう。 また、アライナーをより歯にフィットさせるために大事なのがチューイです。 チューイを10分以上しっかりと噛むことで血流が良くなり、アライナーのフィットが良くなります。 装着時間を守るとともに、歯にしっかりとフィットさせた状態にするためにも、チューイを必ず噛むようにしましょう。
マウスピースの交換時期を守らない
インビザライン治療は、治療計画に沿って新しいマウスピースに交換することが必要です。 治療が進むにつれて歯が動くため、同じマウスピースを装着しつづけても矯正が進みません。 交換時期には関しては医師から指示がありますので、きちんと交換時期を守りましょう。
自己管理の甘さ
インビザライン治療は自己管理になります。 そのため、つけ忘れや外したままの時間が長くなると、歯の動きが悪くなり治療計画通りに進めることができません。 特に小学生などでインビザライン治療を行う場合、お子さんに管理を徹底させなければいけないため、注意が必要です。
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インビザラインの成功の秘訣
インビザラインの効果を発揮させるためには、以下の2点を意識しましょう。
装着時間をきちんと守る
インビサラインの装着時間は、1日20時間以上が推奨されています。 1日20時間以上アライナーを装着することで常に歯に力が加え続けられ、歯が順調に動いていきます。 逆にアライナー装着時間が短ければ、それだけ歯の動きは遅くなってしまいます。 1日の装着時間を長くすることは、インビザライン成功の大きな秘訣と言えます。
チューイをしっかりと噛む
アライナーをより歯にフィットさせるのが、チューイです。 チューイを10分以上しっかりと噛むことで血流が良くなり、アライナーのフィットが良くなります。 インビザラインはとても優れた矯正治療法ですが、より効果を高め、治療結果をしっかりと出すためにも装着時間はきちんと守り、チューイをしっかりと噛むように心がけて下さい。
はぴねす歯科川西能勢口駅前クリニック 院長 小西知恵
日本歯科大学歯学部卒業後、東京医科歯科大学の摂食機能保存学を専攻。その後、東京都・埼玉県・大阪府の歯科医院に12年勤務し、2015年にはぴねす歯科石橋駅前クリニックに勤務。2020年7月、はぴねす歯科川西能勢口駅前クリニックの院長に就任。