インビザライン矯正は、マウスピースを装着し続けることで、歯に対して一定の力が加わります。 そのため、初期段階で痛みをともなうことがあります。 人によって痛みの程度は異なりますが、痛みを感じる原因や痛みの対処方法は同じです。 今回は、痛みを感じる原因や対処方法を具体的に紹介していきます。

インビザライン矯正で痛みを感じる原因

インビザライン矯正で痛みを感じる原因は8つあります。

  • 初めてマウスピースを付けたとき
  • マウスピースを付け忘れたとき
  • マウスピースを取り替えたとき
  • アタッチメントを付けたとき
  • IPRをおこなったとき
  • 顎間ゴムをつけたとき
  • 硬いものを噛んだとき
  • 上下の歯がぶつかったとき

初めてマウスピースを付けたとき

初めてマウスピースを付けたときは痛みを感じやすいです。 歯の根っこ部分は、顎の骨に埋まっており、力を加えない限り動きません。 マウスピースを付けることで歯に力を加え、理想とする位置へ歯を移動させますが、その際に、痛みを感じることがあります。 また、歯に圧力が加わるため、歯が締め付けられるような痛みもあります。 ただし、マウスピースを初めて装着したときは、痛みを感じてから3日〜1週間ほどで痛みが引くことが多いです。

マウスピースを付け忘れたとき

マウスピースを付けない期間がしばらく空いた場合も痛みを感じやすくなります。 痛みを感じる原因は、マウスピースを装着しないことで、歯に加わっていた圧力がなくなり、歯が元の位置に戻ろうとするためです。 マウスピースは自由に脱着できるため、痛みが続く場合は一時的に外すこともできます。 しかし、矯正治療期間中にマウスピースを外すと、痛みを感じるとともに、矯正期間も伸びるためおすすめしません。

マウスピースを取り替えたとき

インビザライン矯正では、複数のマウスピースを段階的に使い、一定期間後に新しいマウスピースに取り替えます。 マウスピースは1つ1つ形状が違うため、新しく取り換えたときに痛みを感じることがあります。 ただし、初めてマウスピースを付けるときよりも慣れているため、ごくわずかな痛みで済んだり、あまり痛みを感じたりしない場合もあります。

アタッチメントを付けたとき

アタッチメントを付けることで、歯に加わる力が強くなり、痛みを感じることがあります。 また、マウスピースを付けているときは、アタッチメントがマウスピースに覆われているため、凹凸も気になりません。 しかし、食事や歯磨きなどのタイミングでマウスピースを外しているときは、アタッチメントの凹凸が口の粘膜に直接触れるため、痛みを感じることがあります。 マウスピースを装着(もしくは外す)ときに、アタッチメントが引っかかって痛むこともあります。

IPRをおこなったとき

IPRとは、歯と歯の間をヤスリで削り、スペースを作る処置のことです。 歯が大きい場合、インビザライン矯正によって歯を動かすスペースがありません。 そのため、IPRによって移動スペースを作り、矯正を進めます。 IPRで削る部分は0.2mmとごくわずかですが、削ったあとに染みるような痛みを感じることがあります。

顎間ゴムをつけたとき

顎間ゴムは、ゴムの引っ張り合う力を利用して歯を移動させるために用います。 使い始めから数日間は、ゴムのかかっている歯が痛むことがあります。 しかし、痛みがあるからという理由でゴムを外してしまうと、治療に遅れが生じ、計画通りに歯が動きません。 数日経てば痛みが軽減させることが多いですが、痛みが気になる場合は、担当歯医者に相談しましょう。

硬いものを噛んだとき

矯正期間中に硬いものを噛むと、歯の根にある歯根膜(しこんまく)に刺激が加わり、痛みを感じることがあります。 歯根膜とは、歯と骨との間にある薄い膜状の組織のことです。 マウスピース装着するときは、歯が根元から動いているため、神経がとても敏感になっています。 痛みが強い場合は、硬いものを避け、歯への負担を避けてください。 症状が悪化すると歯根膜炎となってしまいます。

上下の歯がぶつかったとき

マウスピースによって圧力が加わり、歯が動いているときは、神経がとても敏感になっています。 そのため、食事や噛み癖、何か拍子に上下の歯が強くぶつかるなど、強い衝撃が加わると痛みを感じることがあります。

インビザライン矯正に感じた痛みを和らげる方法

インビザライン矯正中に感じた痛みを和らげる方法を4つ紹介します。

  • 痛み止めを服用する
  • 柔らかいものを食べる
  • 氷で冷やす
  • 安静にする

痛み止めを服用する

痛みが強い場合は、医師から処方された痛み止めを飲みましょう。 多少の痛みは矯正につきものですが、痛みがあるからといって矯正治療を止めてしまうと、計画通りに歯が動かなくなります。 しかし、無理に痛みを我慢して治療を進めると、慢性的な痛みとなってしまうこともあります。 痛みが強い場合は、医師に相談することで痛み止めを処方してくれますので、気になる人は相談しましょう。

氷で冷やす

歯が痛む部分の頬に、冷やしたタオルを上から当てることで痛みを軽減できます。 ただし、氷を直接当てると強い刺激になるため、痛みが増すことがあります。 水道水で濡らしたタオルを冷蔵庫に入れ、冷えたタオルを頬に当てましょう。 また、市販の冷却シートを使用することもおすすめです。 頬に貼れるため、寝ているとき以外にも対応できます。

安静にする

痛みが強い場合は、痛み止めを飲んで安静にしましょう。 痛みがある歯で噛んだり、歯同士を擦り合わせたりしても、痛みはなくなりません。 傷んでいる歯を刺激しないように安静を保つことも大切です。

まとめ

インビザライン矯正中は痛みを感じることがあります。 痛みを感じる理由は、歯根膜から分泌される成分です。 マウスピース矯正によって力が加わると、歯と歯根の間にある歯根膜が収縮し、左右の骨を溶かしたり、形成したりします。 骨が溶ける際に、歯根膜から分泌される成分によって痛みを感じます。 痛みが強い場合は、痛み止めの服用や患部の冷却が効果的です。 痛みがあるからといってマウスピースを外してしまうと、矯正治療が計画通りに進みません。 痛みに耐えられない場合は、担当医に相談のうえ、判断するようにしてください。

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はぴねす歯科院長 小西知恵
コラム監修者

はぴねす歯科川西能勢口駅前クリニック 院長 小西知恵

日本歯科大学歯学部卒業後、東京医科歯科大学の摂食機能保存学を専攻。その後、東京都・埼玉県・大阪府の歯科医院に12年勤務し、2015年にはぴねす歯科石橋駅前クリニックに勤務。2020年7月、はぴねす歯科川西能勢口駅前クリニックの院長に就任。