歯並びや噛み合わせがきちんと整い、矯正装置を外した瞬間、「長かった!やっと装置とさようならできる!」。矯正治療期間は長いため、矯正治療終了の声に、心の中でガッツポーズをしたくなると思います。しかしここからは保定期間に入ります。ところが保定期間中にもかかわらず、リテーナーがはまらなくなった、という声を少なからず聞くことがあります。今回は保定期間の重要性についてお話をいたします。

歯は動く性質があります

よくあるのが、「学生(中学生、高校生など)のときに矯正治療をしていたが、保定期間に入ってから保定装置をずっと付けていなかった。そのためか最近歯のガタつきが気になり始めた」です。矯正治療を終えた後の保定期間にリテーナーを付けていなかったため、再び歯並びが乱れてきた、ということですが、歯には動く性質があります。例えば矯正治療をしていなくても、抜けた歯をそのままにしておくと、抜けた歯の隣の歯が傾き始めた、などが典型的な例です。

矯正治療は、矯正地を付けることによって歯に力を加え、歯を少しずつ動かしていきます。歯を動かす必要がある歯を全て動かし終えた後の歯並びは、元に戻りやすいという性質があります。

リテーナーは、矯正治療後の理想的な歯並びと噛み合わせを維持する役割があります。そして後戻りしようとする歯を抑制する、非常に大切な役目を持っています。

矯正治療終了後、長い期間にわたってリテーナーを付けていないことで起こる新たな歯並びの乱れは、当然起こりうる結果だと言えます。恐らく矯正治療を受けた医院からも、リテーナーはきちんと付けておくように言われたことでしょう。

リテーナーがはまらなくなってしまったら?

リテーナーを付けないまま矯正治療後数年経ち、歯並びが乱れてきたことに気が付いて慌てて当時のリテーナーを付けてみたところ、半分しかはまらない、全然合わないというケースがほとんどです。それほど歯は元に戻ろうとしていたので、長期間そのままにしておいたことで起きた結果です。

この場合、無理矢理リテーナーをはめようとしても、痛みが出る、歯や歯ぐきに悪影響が出るなど、あまり良いとは言えません。

もし現状の歯並びに満足している場合なら、矯正治療を行った歯科医院でリテーナーだけを再作製することが可能な場合もあります。また歯並び自体をもう一度整えたい場合は、部分矯正などで対応できることもありますが、噛み合わせが狂い、全体的な矯正が必要になるケースも考えられます。

リテーナーがはまらなくなったら、早急に受診するようにして下さい。

保定期間は必ずリテーナーを着用しましょう

矯正治療が終わっても、その後の保定期間は後戻りを防ぐための非常に重要な期間です。基本的に、矯正治療にかかった期間=保定期間と言われていますが、リテーナーはずっと付けておいても差し支えありません。医院によっては、ずっと付けておいて下さいと言われることもあるようです。

もしリテーナーがはまらなくなったら、早期に受診しましょう。

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はぴねす歯科院長 小西知恵
コラム監修者

はぴねす歯科川西能勢口駅前クリニック 院長 小西知恵

日本歯科大学歯学部卒業後、東京医科歯科大学の摂食機能保存学を専攻。その後、東京都・埼玉県・大阪府の歯科医院に12年勤務し、2015年にはぴねす歯科石橋駅前クリニックに勤務。2020年7月、はぴねす歯科川西能勢口駅前クリニックの院長に就任。