保険のレジンや銀歯が持つデメリットをカバーし、見た目をとても良くするセラミックの被せ物ですが、費用が高額になることに躊躇する方もいらっしゃるでしょう。また高い費用を払ったにもかかわらず、すぐにダメになってしまうのでは・・・と不安に感じることもあるかもしれません。

ではセラミックはどのくらい持つのか、耐久性に注目してみましよう。

セラミックの平均的な寿命について

では素材としてのセラミックの耐久性や寿命はどのくらいなのでしょうか。保険の素材と併せて一般的な平均寿命をご紹介しましょう。

・レジン・・・約2~3年。レジンは耐久性に劣り、使う部位によって何度も割れる、取れるといったことが起こりやすい素材です。また色素を吸収しやすいので、前歯などはだんだん黄ばみが目立ち、審美性を低下させてしまいます。

・銀歯・・・約3~5年。レジンと比べると強い衝撃にも耐えられます。しかし二次カリエスが起きやすく、二次カリエスになった場合補綴物が浮き上がって合わなくなってしまいます。

・ハイブリッドセラミック・・・約5年。セラミックにレジンを混ぜたものでレジンだけの補綴物と比べると審美性は向上しますが、レジンの特性である吸着しやすい面が出てしまうため、経年とともにやや変色が見られます。

・メタルボンド・・・約7年。昔から使われている実績の高いセラミック。内側に金属を使用しているため強度は抜群ですが、年数が経つにつれ内側の金属がイオン化して溶けだし、歯ぐきが黒ずむメタルタトゥーを引き起こすことがあります。

・オールセラミック・・・7~10年。審美性に優れているため、特に前歯に使われることが多い。ただオールセラミックは衝撃に弱く、奥歯に使用すると割れてしまうことがあるため、部位によって使い分けられます。

・e-max・・・7~10年。次世代セラミックと言われているニケイ酸リチウムガラスが主成分で、強度が非常に優れています。

・ジルコニアセラミック・・・7~10年。人工ダイヤモンドと言われているほど強度に優れているジルコニアを使うことで、耐久性は抜群です。特に奥歯の被せ物はジルコニア単体にすることで、より強度を高めることができます。

このように、保険の素材とセラミック素材では平均的な耐久年数がかなり違うことがおわかりいただけるでしょう。

口腔内の状況によっては、平均年数を下回ることも・・・

このように耐久年数に優れているセラミックですが、お口の中の環境によって平均耐久年数を下回ってしまうことがあります。

「セラミックを入れたから虫歯の再発はしない」「汚れが目立たないから歯磨きは適当でいいや」

こんな考えをお持ちではないですか?どれだけ良いセラミックの補綴物を入れても、お口の中の衛生状態が悪いと耐久性や審美性が落ち、セラミックの良さを台無しにしてしまいます。

確かに二次カリエスのリスクは低いですが、歯と被せ物の境目をしっかりと磨いておかないと、歯ぐきの腫れや出血など、歯肉炎の症状が起きやすくなります。

また年齢を重ねるにつれ、歯肉炎から歯周炎のリスクが高まってしまいます。歯周炎になると歯を支える歯槽骨が吸収されてしまい、歯がグラグラになって抜け落ちてしまうことがあります。

セラミッククラウンでもご自身の歯に土台を立てているため、歯周炎が進行するとセラミッククラウンごと歯が抜けてしまいます。

また歯ぎしりがある方は、セラミッククラウンが割れてしまう恐れがあります。歯ぎしりは非常に強い力で上下の歯を擦り合わせるため、相当な負担がかかってしまいます。天然歯の場合はエナメル質が擦れる、歯や根っこが割れるといった恐れがあります。

歯ぎしりの自覚症状がある方がセラミックインレーやオールセラミッククラウンを装着すると、歯ぎしりの負荷に耐え切れずにセラミックが割れてしまうことも考えられるため、歯ぎしりの習慣を指摘されている方は要注意です。

セラミックを長持ちさせるためには?

セラミックは決して安い買い物ではありません。しかし保険素材にはない優れた面をたくさん持ち合わせており、それは将来の歯の健康維持にも大きく繋がります。

せっかく高い費用を出したセラミックなので、当然長持ちさせたいと思う方がほとんどでしょう。もちろん人工のものは寿命がありますが、お手入れ次第では平均寿命をぐっと伸ばすことも可能です。

毎日の歯磨きはもちろんですが、セラミックを長持ちさせる最大の秘訣は、定期的なメンテナンスです。歯科医院で受けるメンテナンスは、ご自身では取り除けないプラークをキレイに取り除き、歯と歯ぐきの状態を改善させることができる、最大の秘訣なのです。

またセラミックが欠けていないか、噛み合わせは正常かどうかなど、定期的なメンテナンスはご自身では気づきにくいお口の中の状態を良好にするために欠かせないのです。

せっかく装着したセラミックを長持ちさせるためにも、毎日のケアと歯科医院でのメンテナンスはきちんと受けるようにしましょう。

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はぴねす歯科院長 小西知恵
コラム監修者

はぴねす歯科川西能勢口駅前クリニック 院長 小西知恵

日本歯科大学歯学部卒業後、東京医科歯科大学の摂食機能保存学を専攻。その後、東京都・埼玉県・大阪府の歯科医院に12年勤務し、2015年にはぴねす歯科石橋駅前クリニックに勤務。2020年7月、はぴねす歯科川西能勢口駅前クリニックの院長に就任。