エチケット上最も気になるのは口臭ではないかと思います。口臭の原因はいくつか考えられますが、そのひとつに銀歯が挙げられます。フロスを通した時に、なんだか臭いな、と思ったことはありませんか?銀歯にしてから何となく臭いが気になる、他の歯はなんともないのに、銀歯の周辺だけフロスが臭うなど、銀歯が口臭の原因になることがあります。今回は、口臭と銀歯の関連性に焦点を当ててみました。

 

汚れが付着しやすい銀歯

 

天然歯に比べ、銀歯は汚れが付きやすい傾向があります。銀歯には、虫歯がやや進行してレジンでは難しい場合のインレーという詰め物と、神経を取り除いた歯を補強するための大きな被せ物があります。保険適用で安価に治療できるため、一般的な治療法といえば銀歯になります。

 

銀歯の素材は金銀パラジウム合金です。自費治療と比べて費用を抑えることができますが、実は汚れや臭いが付きやすく、口臭の原因を招いてしまうのです。ではなぜ銀歯が口臭を招く原因になりやすいのでしょうか。

 

 

1.銀歯は傷がつきやすい

 

銀歯は一見すると丈夫で傷がつきにくいように思えるかもしれません。しかし銀歯は予想に反して傷が付きやすい素材です。毎日使用するうちに細かな傷が付き、そこへ細菌が付着することで臭いの原因になってしまいます。細かな傷の中に入り込んだ細菌は歯ブラシで取り除くのが難しいため、口臭を招きやすくなります。

 

2.歯と銀歯の境目に汚れが溜まりやすい

 

銀歯の場合、歯との接着性に問題があります。どんなに精巧に作られていても、歯と銀歯の間にはほんのわずかな段差が生じるため、そこにプラークが溜まりやすくなってしまいます。銀歯と歯の間に溜まった汚れはフロスや歯間ブラシを使っても完璧に落とすことは難しく、そのうえ汚れが蓄積されてしまうため、口臭の原因になると言われています。

 

 

3.素材が劣化しやすい

 

銀歯は強度はありますが、金属のため年数が経つうちに劣化してきます。毎日の飲食で熱いものと冷たいものの温度差で金属に歪みが生じ、少しずつ歯と銀歯の間にすき間ができてしまいます。そのすき間の周りに汚れが入り込んで臭いのもととなります。

 

4.セメントが流れ出し、二次カリエスが作られて臭いを出す

 

歯と銀歯を留めているセメントが流れ出して銀歯が浮き上がってしまうことで、虫歯の再発を招いてしまいます。銀歯と歯は歯科用セメントを使って留めますが、正確には「接着」ではなく、「合着」と呼ばれる留め方です。合着は歯と銀歯がぴったりと密着せず、経年劣化とともにセメントが流れ出て銀歯が浮き上がってしまいます。そこへ虫歯菌が入り込むと内部で虫歯が作られ、臭いを発してしまいます。

 

なお二次カリエスが作られると、何度も再治療が必要になり、最終的に歯を失ってしまう可能性があります。

 

銀歯からなるべく臭いを発しないためにはどうすればいい?

 

人前で話すときに口臭が気になると、なんどかしなければと思われるでしょう。最近はエチケットグッズもたくさん販売されており、様々な方法で口臭を防ぐことが可能となっています。

 

しかし口臭の原因が銀歯の場合、どんなに口臭対策グッズを使っても改善されません。むしろ口臭がきつくなることもあるので、銀歯が口臭の原因と考えられる場合は、正しい処置が必要になります。では銀歯が原因の口臭は、どのような対策をすればよいのでしょうか。

 

1.定期検診を欠かさず受ける

定期検診は、虫歯の有無や歯周病の進行具合をチェックし、歯とお口の中に異常がないかどうかを確認するためのものです。加えて銀歯の周囲に汚れはないかなどもチェックし、歯と銀歯の間に虫歯ができていないかどうかをチェックしてもらいましょう。もし異常が見つかった場合、早めの処置で対処することができます。

 

2.定期的にクリーニングを受ける

PMTCと呼ばれる、歯科医院で受けるクリーニングは、自宅での歯磨きでは落としきれない汚れを徹底的に落とすことで、歯ブラシが届かない部分のプラークや、銀歯との境目のプラークを落とすことができます。お口の中の環境を清潔にすることで、銀歯へ付着する汚れのリスクをある程度取り除くことが可能となります。

 

汚れが付きにくく、口臭対策にもなるセラミック

 

銀歯に付く汚れが口臭の原因になってしまうことをお話しました。定期検診やクリーニングである程度対策できますが、日が経つにつれて、再び銀歯の周りの汚れが付きやすくなってしまいます。それに加え、また臭いも気になりだすのではないでしょうか。

 

銀歯の臭いを根本的に改善するには、銀歯そのものを外し、セラミックに替える方法です。セラミックは傷がつきにくくツルツルした滑らかな素材のため、汚れがほとんど付着しません。そのため臭いも付きにくく、銀歯でありがちな口臭対策のひとつになるでしょう。

 

また合着ではなく、しっかりとした接着法で留めるため二次カリエスが起こりにくいのも、臭いを防ぐための対策になります。セラミックは審美性ばかりが注目されがちですが、臭いが付きにくく二次カリエスにもなりにくいという、お口の健康面にとっても優れた面を持っているのです。

 

銀歯が気になる方、口臭が気になる方は、いちどかかりつけ医に相談してみましょう。

 

 

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はぴねす歯科院長 小西知恵
コラム監修者

はぴねす歯科川西能勢口駅前クリニック 院長 小西知恵

日本歯科大学歯学部卒業後、東京医科歯科大学の摂食機能保存学を専攻。その後、東京都・埼玉県・大阪府の歯科医院に12年勤務し、2015年にはぴねす歯科石橋駅前クリニックに勤務。2020年7月、はぴねす歯科川西能勢口駅前クリニックの院長に就任。