「金属アレルギーの人でも受けられる歯科治療について」気になっていませんか?
歯の治療は、基本的に金属を使っているイメージがあるため、「金属アレルギーの人でも使用できる治療法があるのか」「金属を使用しない歯の治療法はないのか?」と、疑問に思う人も多いでしょう。
結論、金属アレルギーの人が受けられる歯科治療は限られていますが、受けられる治療法はいくつかあります。
そこで今回は、以下の内容について解説します。
- 金属アレルギーとは
- セラミック治療とは
- セラミック治療のメリット
- 金属アレルギーの人におすすめなセラミック
- 金属アレルギーの人が避けるべきセラミック
- セラミック治療の種類
この記事を読むことで、金属アレルギーの人でも安心して自分に合った歯科治療を見つけられるでしょう。
どんな治療法があるのか知りたい金属アレルギーの人は、ぜひ参考にしてみてください。
金属アレルギーとは
金属アレルギーとは、イオン化して溶けだした金属が体内に吸収され、体が悪いものだと認識して過剰な免疫反応を引き起こすことです。
たとえば、ピアスやネックレスなどのアクセサリーのほか、歯科医療で作成される銀歯やインプラント、ワイヤー矯正などが挙げられます。
そこで、金属アレルギーで引き起こされる症状を詳しく解説します。
金属アレルギーの症状
主に金属アレルギーで見られる症状は、以下のとおりです。
症状がみられる部位 | 口腔内や口の周り | 全身 |
主な症状 | ・赤み ・腫れ ・かゆみ ・口内炎 ・口唇炎 ・味覚障害 ・舌の痛み など |
・赤み ・頭痛 ・かゆみ ・肩こり ・めまい ・皮膚の発疹 ・水ぶくれ など |
歯科治療で引き起こされる金属アレルギーは、口腔内だけでは留まらず、全身に症状が見られる可能性があります。
最悪の場合、命の危険に関わる可能性があるため注意をしましょう。
セラミック治療とは
セラミック治療とは、陶材の一種であるセラミック素材を使用して、歯科治療をおこなうことです。
セラミックは、体内での拒絶反応が少ない素材であり、人工関節や歯科インプラントなどに使用されています。
審美性や機能性が高いため、被せものや詰め物に適しています。
セラミック治療のメリット
セラミック治療を行うメリットは、以下の3つあります。
- アレルギーリスクが少ない
- 自然な見た目と強度
- 歯との親和性が高い
それぞれ詳しく解説していきます。
アレルギーリスクが少ない
セラミック治療には、アレルギーのリスクが少ないメリットがあります。
セラミック治療には、陶材の一種であるセラミックを使用しているため、金属のアレルギー反応が出ません。
アレルギーを引き起こすリスクが少ないため、金属アレルギーの人におすすめの治療法です。
ただし、セラミックとコバルトクロム合金の金属を使用したメタルボンド治療は、金属アレルギーの方は注意が必要です。
自然な見た目と強度
セラミック治療には、自然な見た目と強度を兼ね備えているメリットがあります。
セラミックの素材は、天然歯に近い透明感と色味を細かく調整できる特徴があり、長年きれいな歯を保てます。
また、陶器のように強度が強い素材であるため、銀歯やレジンのように傷がつきにくいです。
セラミック治療は、自然で美しい見た目を再現でき、負荷が大きくかかる奥歯にも耐えられる強度をもっています。
歯との親和性が高い
セラミック治療は、歯との生体親和性が高いメリットがあります。
セラミックは、体内での拒絶反応が少ない素材であるため、さまざまな人体との接着性の相性がいいです。
たとえば、高い生体親和性を求められる歯科医療には、人工で作られている歯根やインプラント時に使用している材料があります。
また、天然歯との色調や透明感、ツヤなどが再現されやすいです。
セラミック治療は、体内との相性がよく天然歯とも馴染みやすいため、親和性が高いといえるでしょう。
金属アレルギーの人におすすめなセラミック
金属アレルギーの人におすすめするセラミックは、主に5つの材料があります。
- オールセラミック
- ジルコニア
- ハイブリッドセラミック
- ジルコニアセラミック
- e-max
それぞれどのような素材なのかを、詳しく紹介していきます。
オールセラミック
オールセラミックとは、全てセラミックの素材を使用しているものです。
オールセラミックの特徴は以下のとおりです。
- 耐久性に優れている
- 天然歯と同等の見た目を再現できる
- 経年劣化しにくい
主に、咬み合わせの負荷が小さい前歯に使われます。
前歯を作成する際に、ぜひ検討してみてください。
ジルコニア
ジルコニアとは、二酸化ジルコニウムを使用している素材であり、人工ダイヤモンドとも呼ばれています。
ジルコニアの特徴は、強度が高く耐久性に優れていることです。
そのため、咬み合わせの負荷が大きい奥歯に用いられます。
また、セラミックよりも審美性が劣るという理由から、奥歯に使用されるケースが多いです。
ハイブリッドセラミック
ハイブリッドセラミックとは、歯科医療用のプラスチック素材を使用したレジンと、セラミックを混ぜた素材です。
ハイブリッドセラミックの特徴は、ほかのセラミック素材より安い費用で抑えられるところです。
コンピューターでデザインして作成されるCAD/CAM冠にも使用でき、唯一保険適用になる可能性があります。
セラミックの硬さとレジンの柔軟性を兼ね備えているため、主に前歯や小臼歯の詰め物や被せものに使用されます。
ジルコニアセラミック
ジルコニアセラミックとは、内側は人工ダイヤモンドと呼ばれているジルコニア、外側にはセラミックを使用した素材です。
ジルコニアセラミックの特徴は、耐久性と審美性に優れているところです。
全ての部位に使用できます。
特に、ジルコニアの耐久性と強度、セラミックの自然な歯の美しさを合わせ持っているため、前歯を作るときに使用されます。
e-max
e-maxとは、ニケイ酸リチウムガラス(ガラスセラミック)を主成分とするセラミック素材です。
e-maxの特徴は、以下のとおりです。
- 強度が高い
- 耐久性が高い
- 接着力の高い
- 審美性が優れている
- 虫歯のリスクが低い
- 天然歯を痛めない
全ての歯の詰め物や被せものに使用できますが、透明度と接着性の高さから、ラミネートべニア治療におすすめです。
金属アレルギーの人が避けるべきセラミック
金属アレルギーの人は、「メタルボンド」というセラミック治療に注意する必要があります。
メタルボンド
メタルボンドとは、内側に金属を使用し、その上にセラミックを被せている素材です。
メタルセラミックとも呼ばれています。
メタルボンドは、内側に金属を使用していることで強度を保ち、耐久性を高めています。
主に、咬み合わせの負荷が大きい奥歯に使用されますが、金属が使われているため金属アレルギーの人は避けた方がいいセラミック治療法です。
セラミック治療の種類
セラミックには、主に以下の3種類の治療があります。
- オールセラミッククラウン
- ラミネートべニア
- インレー・アンレー
それぞれ詳しくみていきましょう。
オールセラミッククラウン
オールセラミッククラウンとは、全てセラミック素材を使用している被せものを言います。
特に咬み合わせの負荷が少ない、前歯や小臼歯に使用されることが多いです。
オールセラミッククラウンは、天然歯に近い色調や透明感があるため、高い審美性を求めている人におすすめです。
ラミネートベニア
ラミネートべニアとは、歯の表面を薄く削り、薄いセラミック素材を貼り付ける治療法です。
歯の一部を修復するために使用されるため、歯を削る量が少なくて済みます。
ラミネートべニアをおすすめする人は以下のとおりです。
- 歯並びをきれいに見せたい人
- もともと前歯が変色している人
- 歯の一部が欠けてしまっている人
主に前歯に使用されるため、ホワイトニングの白さだけで物足りない人も治療可能です。
インレー・アンレー
インレーとアンレーとは、歯の欠損部分を埋めるために使用される治療法です。
セラミック素材は、精密な形にも作成しやすいため、インレーやアンレーにも用いられます。
天然歯との接合性が高いため、虫歯の再発による再治療のリスクも軽減できます。
金属アレルギーの人だけでなく、歯の欠損部分に銀歯を入れたくない人にもおすすめです。
まとめ
今回は、金属アレルギーの人が受けられる歯科治療を解説してきました。
金属アレルギーの人は、主にセラミック治療を推奨しています。
さまざまな特徴をもつセラミック素材があるため、医師と相談してセラミック治療の種類を検討するといいでしょう。
しかしメタルボンド治療は、人体に触れる部分に金属を使用しているため、避ける必要があります。
本記事を読んで、金属アレルギーの人でも安心して受けられるセラミック治療について理解し、自分に合った治療法を探してみてください。
はぴねす歯科川西能勢口駅前クリニック 院長 小西知恵
日本歯科大学歯学部卒業後、東京医科歯科大学の摂食機能保存学を専攻。その後、東京都・埼玉県・大阪府の歯科医院に12年勤務し、2015年にはぴねす歯科石橋駅前クリニックに勤務。2020年7月、はぴねす歯科川西能勢口駅前クリニックの院長に就任。