「前歯だけをインビザライン矯正で歯並びを整えたい」と考えている方は少なくないでしょう。

前歯の歯並びが気になるものの、前歯だけ歯並びを治すことができるのか気になりますよね。

特にインビザライン矯正治療で前歯だけを部分矯正できるのかについても気になっているでしょう。

他にも以下のような疑問や不安を抱えているのではないでしょうか?

  • 「インビザライン矯正で前歯だけ治療する場合、どれくらいの時間と費用が必要になるの?」
  • 「部分的な矯正は全体的な歯列矯正と比べてどのようなメリットやデメリットがあるの?」
  • 「部分的な歯列矯正をする場合の注意点についても詳しく知っておきたい」

前歯だけといった部分矯正治療の場合、治療期間は数ヶ月〜1年程度であり、費用も30万円程度で済みます。

治療期間が2〜3年程度、100万円前後の費用がかかる全体矯正と比べて、負担が少なく済むのが部分矯正のメリットと言えるでしょう。

しかし、前歯のみの部分矯正は治療を受けられる人と受けられない人がいたり、知っておくべきインビザラインのデメリットがあります。

そこで今回は以下のトピックについて解説します。

  • インビザライン矯正で前歯のみの治療は可能?
  • インビザライン矯正で前歯のみの治療にかかる費用
  • インビザライン矯正で前歯のみの治療にかかる期間
  • 前歯のみのインビザライン矯正ができないケース
  • 前歯のみのインビザライン矯正がおすすめなケース
  • インビザラインで部分矯正をするデメリット

この記事は前歯のみのインビザライン矯正が可能なのか、治療に関してメリットやデメリット、注意点、費用と治療期間について解説します。

前歯だけといった部分的な矯正治療を考えている方や治療に対する不安を拭うために詳しい情報を集めたいという方はぜひ参考にしてください。

インビザライン矯正で前歯のみの治療は可能?


インビザライン矯正で前歯のみを治療することは可能です。

前歯だけといった部分矯正の方が費用が安かったり、治療期間が短く済んだりするのですが、注意点がいくつか存在しています。

たとえば、前歯のみの部分矯正は、抜歯の必要のない方や軽度の不正咬合の方にだけ効果があるといったように誰でもできるわけではありません。

そのため、多少時間とお金がかかっても全体矯正を行った方が長く歯を健康に保てるので一般的におすすめです。

前歯のみの部分矯正をそれでも考える方はしっかりと情報を集めて、歯科医師に相談して実際の治療イメージを固めてから決断するようにしましょう。

インビザライン矯正で前歯のみの治療にかかる費用


前歯のみのインビザライン治療の費用は30万円程度必要になります。

100万円前後の費用がかかる全体矯正と比べると、部分矯正は費用面のメリットが大きく、矯正治療を躊躇している人でも治療を始めやすいです。

実際に部分矯正をまず始めてみて、将来的に全体矯正を開始するという方も少なくありません。

インビザライン矯正で前歯のみの治療にかかる期間

前歯のみのインビザライン矯正の場合、個人差はありますが、数ヶ月〜1年ほどで治療が完了します。

2〜3年近くかかる全体矯正と比べて、歯を動かす本数も距離も少なく短いことから、治療期間が短く済みます。

ただし、動かした歯を固定するための保定期間は全体矯正と同じ期間が必要になることを覚えておきましょう。

関連記事:インビザラインで抜歯した隙間が埋まるまでの期間や対処方法を紹介

前歯のみのインビザライン矯正ができないケース

前歯のみのインビザライン矯正の場合、治療ができない症例がいくつか存在しています。

そこで治療が難しい症例を理由とともに解説していくので、しっかりと理解するようにしましょう。

重度の不正咬合がある方

重度の不正咬合がある方は前歯のみといった部分的なインビザライン矯正ができません。

具体的に不正咬合は歯並びが凹凸していたり、捻れていたり、出っ歯であったりといった状態のことを指しています。

こういった歯の状態だと部分矯正をして一部分の歯並びを整えても、逆に噛み合わせが悪くなり、体に負担がかかったり、治した歯並びが元に戻る可能性が高いです。

部分矯正を受けられる程度の不正咬合であるのか、歯科医師に診てもらう必要があるものの、不正咬合がひどい場合は治療は受けられないことを覚えておきましょう。

噛み合わせに問題がある方

噛み合わせに問題がある方も前歯のみのインビザライン矯正ができない可能性が高いです。

どうしても噛み合わせを改善するには歯全体とのバランスが重要になってきます。

そのため、前歯だけといった部分的なインビザライン矯正ではどうしても改善できず、全体矯正をしなければなりません。

抜歯が必要な方

抜歯が必要な方も前歯のみのインビザライン矯正ができないです。

歯を動かすスペースの確保のために抜歯する場合、どうしても部分矯正では作ったスペースを使いきれず歯のバランスが悪くなってしまいます。

そのため、抜歯が必要な方は部分矯正ではなく、全体矯正に切り替える方がいいでしょう。

インプラントが入っている方

インプラントが入っている方も前歯のみのマウスピース矯正ができない可能性が高いです。

インプラントとは顎の骨に人工歯根を埋め込む治療法です。

その際に歯根膜という歯と骨を守るクッションのような組織がなくなってしまいます。

インビザライン矯正は歯に一定の力を加え続ける治療なため、歯根膜がなければ骨を削ったり、隣接する歯を傷つけたりしてしまうでしょう。

こういった背景からインプラントが入っている人はインビザライン矯正を避けた方がいいです。

前歯のみのインビザライン矯正がおすすめなケース


前歯のみのインビザライン矯正が向いている症例は以下の6つです。

ただし、いずれの症例も軽度の症状でなければ適応できないので、まずは早急に確認して見ましょう。

すきっ歯の方

前歯と前歯の間の隙間が空いている状態のことをすきっ歯といい、すきっ歯の方であれば前歯のみのインビザライン矯正によって解決しやすいです。

すきっ歯の原因は生まれつき歯が小さかったり、本来生えてくるはずの歯が生えてこなかったりなどの先天的な要素と日常的に頬杖をついていることが原因のケースがあります。

しかし、ほとんどの症例では抜歯の必要がないのでインビザラインの部分矯正によって歯並びを解決させやすいのでおすすめです。

軽度の出っ歯の方

軽度の出っ歯の方もインビザラインの部分矯正が向いている症例の一つです。

出っ歯とは前歯が前方に突出した状態のことで、主に2つの原因があります。

たとえば、あごの骨格や歯の大きさなどの先天的な原因と舌で前歯を押したり、爪を噛んだりする癖といった後天的な原因です。

この原因のうち、出っ歯の方の場合は後天的な原因の場合だけインビザラインの部分矯正で解決できます。

ただし、出っ歯の方は症状が重い場合は、部分的な矯正ではきれいに歯並びを整えるのが難しいことを覚えておきましょう。

軽度の叢生の方

叢生とは凹凸のある歯並びのことで、たとえば歯が重なって生えている状態のことです。

叢生の原因としては、歯の大きさに対して顎が小さかったりといった先天的なものから、日常的な頬杖により顎が変形したりといった後天的なものがあります。

叢生のうち、後天的な原因によるものにのみ前歯のみのインビザラインが対応可能です。

ただし、重なっている歯の本数が多い場合は部分矯正だけでは歯全体のバランスを整えられないことから治療ができません。

軽度の捻転歯の方

軽度の捻転歯の方も前歯のみのインビザライン治療がおすすめです。

捻転歯とは捻れて生えている歯のことで、主な原因として歯が生えるスペースが足りないことが挙げられます。

前歯だけが捻れているといった軽度の場合の捻転歯のみ、インビザラインの部分矯正で治療可能です。

軽度の開咬の方

軽度の開咬の方も前歯のみのインビザライン矯正が効果的です。

開咬を治すには圧下と呼ばれる歯を歯茎側に沈み込ませる力をかけることが必要になります。

そのため、ワイヤー矯正と異なり、歯に対して正しい方向で圧力を加えられる特徴をもつインビザライン治療が非常に効果的です。

ただし、重度な開咬の方の場合だと、部分矯正だけでは治療しきれません。

そのため、まずは歯科医院に足を運び、自分の開咬の症状についてみてもらうようにしましょう。

矯正後に後戻りをしている方

矯正後に歯の位置が治療する前に後戻りしている方もインビザラインの部分矯正が向いているでしょう。

実はインビザライン矯正は前歯だけの部分的な治療や後戻りの治療に適した治療法です。

そのため、部分的な歯の隙間や軽度の後戻りの対策、後戻りの予防として治療するのがいいでしょう。

ただし、後戻りの状態によってはインビザラインの部分矯正では対応できないこともあるので、まずは歯科医師に診てもらう方がいいです。

インビザラインで部分矯正をするデメリット


インビザラインで部分矯正をする際に注意しなければならないデメリットも存在しています。

治療前に理解しておかなければ後悔してしまうものなので、しっかり確認しましょう。

噛み合わせを治すことはできない

インビザラインで部分矯正する場合だと、噛み合わせ自体を治すことはできません。

前歯だけの一部分の歯並びを整えても、噛み合わせは歯全体のバランスが重要になってくるため、噛み合わせ自体は改善できないです。

むしろ、奥歯の噛み合わせが悪い状態で前歯だけ歯列矯正をすると、噛み合わせのバランスを余計に崩して、慢性的な肩こりや頭痛に悩まされるかもしれません。

前歯だけの部分矯正をおこなっても全体の噛み合わせのバランスが崩れないか気になる方は実際に歯科医師に診てもらいましょう。

歯が染みることがある

インビザラインで部分矯正しようとすると歯がしみることがあります。

特に歯を並べるスペースを確保するために「IPR」という隣接している歯を削るという治療をおこなった場合には歯が染みやすいです。

エナメル質が薄い方や知覚過敏がある方は歯が染みやすいので、まずは自分が歯が染みやすいかを確認しましょう。

もし歯が染みやすい方であっても、「IPR」以外に抜歯によって歯を動かすスペースを確保する手段もあるので、そちらも検討してみるとよいです。

まとめ

前歯だけの歯列矯正は可能ではあるものの、今回紹介したように治療可能な症例の人と治療を避けた方がいい人がいます。

しかし、今回紹介したように費用的、時間的なコストが全体矯正と比べて負担が軽いです。

また、治療可能な症例や治療を避けた方がいい症例の方も症状の軽度によっては変わってきます。

そのため、まずは実際に歯科医師に自分の歯並びと考えている治療法やどうなりたいかの理想を明確にして相談してみると良いでしょう。

はぴねす歯科院長 小西知恵
コラム監修者

はぴねす歯科川西能勢口駅前クリニック 院長 小西知恵

日本歯科大学歯学部卒業後、東京医科歯科大学の摂食機能保存学を専攻。その後、東京都・埼玉県・大阪府の歯科医院に12年勤務し、2015年にはぴねす歯科石橋駅前クリニックに勤務。2020年7月、はぴねす歯科川西能勢口駅前クリニックの院長に就任。