「インビザラインに向いていない人」について知っておきたいと思った方はいませんか?歯列矯正は費用も時間も大きな負担がかかる治療なので、あらかじめインビザラインのリスク、注意点を知っておきたいですよね。

他にも以下のようなポイントについて疑問に思っていませんか?

  • 「インビザライン治療のリスクはある?」
  • 「インビザライン治療に向いていない人っているの?」
  • 「インビザラインっておすすめしないと言われるのはなぜ?」
  • 「本当にインビザラインに向いている人ってどんな人?」

インビザライン治療はワイヤー矯正治療と比べて自己管理が必要だったり、対応できる症例の幅が狭かったりなど治療の難易度が高い点があります。またそもそも歯が奇形であったり、歯の腫瘍がある場合には治療自体が難しかったりと条件が厳しい点もあります。

しかし、インビザラインに向いている人には取り外しができて、治療も大満足で終えられるでしょう。そこで今回は以下のトピックについて解説します。

  • インビザラインをおすすめしない人の特徴
  • そもそもインビザラインが難しい人
  • 「インビザラインはおすすめしない」と言われる理由
  • インビザラインをおすすめする人の特徴

この記事はインビザラインをおすすめしない人やおすすめしないといわれている理由、そもそもインビザライン治療が難しい人、逆に治療に向いている人について解説します。

インビザライン治療を考えてはいるものの、あらゆるリスクをどうしてそうなのかの原因まで知って治療を判断したいという方はぜひ参考にしてください。

インビザラインをおすすめしない人の特徴

インビザライン治療をおすすめしない人は以下の特徴に当てはまっている方です。どれか一つでも当てはまるとインビザライン以外の治療法を検討した方がいいので、まずは自分が当てはまっているのか確認していきましょう。

長期的な通院が困難な人

長期的に通院が難しい人はインビザライン治療を控えた方がいいでしょう。歯列矯正は虫歯や歯周病のケアをしながら歯を緻密に動かしていくため、2〜3年近い年月がかかる治療です。

そのため、入学や卒業、就職転職、会社の定期的な転勤などで転居の予定がある方は難しいでしょう。特に歯列矯正は歯の状態によって治療を変えることもあるため、できるだけ同じ歯科医師に見てもらい続けることが治療成功のカギです。

長期的な通院は徹底しなければなりません。

定期的な通院が困難な人

定期的な通院が難しい人もインビザライン治療をやめておいた方がいいでしょう。インビザライン治療はマウスピースを使って、歯が動くたびに新しいマウスピースを新調して装着していくことの繰り返しです。

そのため、定期的な通院は必須になってきます。定期的な通院で虫歯や歯周病の予防、治療の進捗確認などもしてもらえるので治療を予定通り早く成功させるためにも、定期的な通院が難しい人は治療をやめておいた方がいいです。

自己管理ができない人

自己管理が苦手な人もインビザライン治療を控えた方がいいでしょう。インビザライン治療は他の歯列矯正であるワイヤー矯正と違い、矯正器具を取り外しできるのが最大の特徴です。

歯列矯正は力をどれくらい長時間加え続けたかによって動く距離が変わってきます。そのため、徹底した自己管理ができる人でなければ矯正器具の装着時間を確保できずに、歯をほとんど動かせずに治療が頓挫するでしょう。

取り外しができる分、歯をきれいに磨けたり、どうしても見た目に気を使いたい時などには便利ですが、自己管理ができず装着時間を確保できない人はやめておいた方がいいです。

関連記事:インビザラインは痛い?痛みの原因と対処法について

虫歯や歯周病がある人

虫歯や歯周病がある人もインビザラインをやめた方が賢明です。取り外しができるとはいえ、どうしてもインビザラインの矯正期間中は間食へのケアを忘れやすかったりもして歯に汚れを残さないようにするのが難しくなります。

それだけでなくインビザラインをしていると虫歯の進行も早まるので、治療を始める前に虫歯や歯周病をしっかりと直しておかなくてはなりません。そのため、治療を始める前の段階で虫歯や歯周病がある人は先に完治させましょう。

関連記事:インビザラインは虫歯になりやすい?虫歯治療と矯正治療はどっちが優先?

顎関節症を患っている人

顎関節症を患っている人も治療を考えた方がいいでしょう。顎関節症は噛み合わせが原因で発生すると考えられていますが、歯列矯正で歯並びを整えても解決しないケースが少なからずあります。

それどころか、矯正のやり方次第ではさらに顎関節症を悪化させてしまうリスクもあるのです。そのため、顎関節症でも歯列矯正自体は可能ですが、顎関節症が必ず治るわけではありません。

最悪の場合、顎関節症を悪化させてしまう可能性があることを理解して治療を考えましょう。

費用を用意できない人

インビザライン矯正の費用を用意できない人にも治療をおすすめできません。インビザライン治療は保険適用外となるので、高額になりやすいです。

個人差があるものの一般的に40万〜100万円程度の費用が必要になります。さらに虫歯や歯周病、定期的な診察のお金などもかさむので、最大で100万円以上かかることも頭の中に入れて、治療を検討しましょう。

関連記事:インビザライン矯正ができない症例とは?

関連記事:インビザラインができない人とは?適応外の人の特徴を徹底解説 

そもそもインビザラインが難しい人

インビザラインがそもそも難しい人の特徴についても解説します。先ほどのインビザラインをやめておいた方がいい人の前に、以下の特徴に当てはまっていないかも確認しておきましょう。

歯の奇形がある人

奇形な歯がある人はそもそもインビザライン治療が難しいです。具体的に奇形歯とは矮小歯という本来の歯よりも一回り小さい歯のことで、こういった歯があると被り物を装着したりして、まずは歯を本来の歯の大きさにするところから始めます。

こういった歯並びを直したい原因が歯並びではなく、歯の大きさや形に問題がある場合は先に歯列矯正以外の選択肢を選択して治療しなければなりません。

歯の腫瘍がある人

歯並びが悪くなった原因が歯の腫瘍だった場合もインビザライン治療を考えた方がいいです。具体的に腫瘍として多いのが、エナメル上皮腫や歯牙腫、セメント質腫などで、特に歯牙腫には注意しましょう。

良性の腫瘍ではあるものの、歯の根元あたりによく発生し、10代〜20代の発生率が高いことからも場合によっては歯根吸収や歯並びを乱します。そのため、歯に腫瘍がある人は早急に対応する必要もあり、インビザライン治療が難しいです。

関連記事:インビザライン治療の成功率はどのくらい?失敗しないためのコツ

「インビザラインはおすすめしない」と言われる理由

インビザライン治療について調べていると「インビザラインはおすすめしない」といわれている話を見聞したことがあるのではないでしょうか。ここからはおすすめしないといわれている主な理由について解説するので、どのようなリスクがあるのか理解しておきましょう。

クリンチェックに問題がある

インビザライン治療にはクリンチェックという3Dで取り込んだデータや治療計画をもとにおこなうシミュレーションに問題があるといわれています。なぜならインビザライン治療は矯正認定医という適切で十分な知識と経験を持つ証を持たない歯科医師であっても治療が可能だからです。

正確なクリンチェックをするには生体力学という実際に歯を動かしていく際の特徴を抑えなければなりません。しかし、矯正認定医を持たない方だと実際に歯を動かした経験が少ないためシミュレーションに差がでり、治療を安全に進められるかも変わってくるでしょう。

こういった理由からインビザライン治療だと矯正認定医をもたない方に治療をしてもらった際にクリンチェックに問題があるので、やめておいた方がいいといわれています。

装着時間の管理が必要

インビザラインがおすすめされない理由として、装着時間の徹底した管理が必要だからです。最低でも歯を動かすためには一日あたり最低でも20時間以上、可能であれば22時間以上確保するのが望ましいとされています。

最低20時間以上の装着時間を毎日確保しながら1年以上継続することが難しい方は、インビザライン矯正は避けて、取り外しができないワイヤー矯正による治療を考えましょう。

アンフィットのリカバリーが不適切

インビザライン矯正の場合、多少なりとも歯とマウスピースの間にアンフィットという、うまくフィットしていない部分が発生しています。アンフィットの部分の対処法は上下で取り外し可能な医療用のゴムを使って対処するか、ワイヤーをずれた部分に装着して、リカバリー対応するかの2択です。

これらの処置は高度な技術を求められるのですが、インビザライン矯正に関しては矯正認定医をもっていなくても処置できます。そのため、一般的にインビザライン矯正はトラブルが起きた時のことも考えてやめておいた方がいいといわれているのです。

適用でないケースでも治療している

インビザラインには治療範囲がワイヤーと比べて狭く、適用できないケースがあるので、おすすめしないとされています。たとえば、歯並びが悪い原因が骨格のずれが大きい場合や歯を動かす際に移動量が大きい場合にはインビザラインでは対応が難しいです。

ただし、インビザラインと補助装置の組み合わせで治療ができることもあるので、実際に歯科医師に歯の状況やどれくらい動かすのかを相談して治療可能か判断してもらいましょう。

インビザラインをおすすめする人の特徴

インビザラインがおすすめな人についても解説しておきます。言い換えればインビザライン治療の特徴に適していることでもあるので、特徴を再度理解しながら治療を考えましょう。

歯並びが悪い人

インビザラインに最も向いている人は歯並びが悪い人です。具体的には歯並びが凸凹している方や受け口や出っ歯などの歯並びの悪さが目立つ方はインビザライン治療を前向きに検討した方がいいでしょう。

ただし、歯の乱れ具合によってはインビザライン治療で対応できないこともあるので、複数の歯科医師に相談して治療できるか確認するとよいです。

噛み合わせが悪い人

噛み合わせが悪い人もインビザラインに向いているといえます。ただし、骨格のずれによる噛み合わせの悪さやずれの範囲が大きい場合にはインビザラインを適用するのは難しいです。

インビザラインで噛み合わせを直せるかどうかは歯科医師の腕と判断によるところが大きいので、複数の歯科医師に相談してできるだけ正確な情報を集めるようにしましょう。

虫歯や歯周病の原因が歯並びにある人

虫歯や歯周病の原因が歯並びにあるような人もインビザラインがおすすめです。虫歯や歯周病になるほど歯磨きがうまくできていない場合、歯並びを改善した際の虫歯、歯周病予防の効果は非常に高く望めるでしょう。

先に虫歯や歯周病を直してからのインビザライン治療になりますが、一度歯並びを整えてしまうと虫歯や歯周病のリスクが減る観点からも治療をおすすめします。

発声に問題がある人

歯並びに問題があり、聞き取れないといった発声の悩みを抱えている人にもインビザライン治療が向いています。歯並びと発音には深い関係があり、歯並びを解決すると聞き取りやすい発声になったというケースは少なくありません。

発声に悩みを抱えていて、さらに歯並びにも問題があると感じている方は歯列矯正でどちらも解決する可能性が高いので、治療を受けることをおすすめします。

まとめ

インビザラインをおすすめしない人は今回紹介したような何らかの理由で長期的に定期的な通院が難しい人であったり、自己管理が苦手な人たちです。他にも歯に奇形があったり、歯に腫瘍があったりする人もそもそも治療が難しいので、自分が当てはまっていないか確認しましょう。

このように治療のハードルが高いものの、一方で今回紹介した歯並びが悪い人や発声に問題がある人などはインビザライン治療が向いているので一度検討してみるとよいです。

さらに面倒ではありますが、複数の歯科医院に足を運び、実際に歯科医師にインビザライン治療可能か、治療の難易度、リスクなども聞いておくと後悔しない選択ができるでしょう。時間も費用も負担が大きいので後悔しないように何度も今回の内容を振り返るとよいです。

はぴねす歯科院長 小西知恵
コラム監修者

はぴねす歯科川西能勢口駅前クリニック 院長 小西知恵

日本歯科大学歯学部卒業後、東京医科歯科大学の摂食機能保存学を専攻。その後、東京都・埼玉県・大阪府の歯科医院に12年勤務し、2015年にはぴねす歯科石橋駅前クリニックに勤務。2020年7月、はぴねす歯科川西能勢口駅前クリニックの院長に就任。

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