インビザライン矯正をやってみたものの、「思ったような歯並びにならなかった」「もっとこうなって欲しかった」などと不満が残るのは嫌ですよね。 インビザラインは費用と期間がかかる治療になるので、失敗したくないと思う方も多いでしょう。 しかし、実際にはインビザライン矯正で後悔している患者様もいらっしゃいます。 今回の記事では、インビザラインで後悔している患者様の意見と、後悔しないための対処方法についてお伝えしていきます。
インビザライン矯正で後悔している人の声
インビザライン矯正をやって後悔している人たちは、以下のような不満を持っています。
- 期間内に治療が終わらなかった
- 出っ歯になってしまった
- 想像以上に痛みが強かった
- 噛み合わせが合わなくなった
- 満足いく歯並びにならなかった
- 歯茎が下がってしまった
- 歯を削りすぎてしまった
- 虫歯や歯周病が悪化してしまった
- ワイヤー矯正よりも費用が高かった
- インビザラインを選んで本当によかったのか疑ってしまう
1つずつ詳しく説明していきます。
期間内に治療が終わらなかった
想定した期間内に理想的な歯並びにならないケースが多々あります。 インビザラインの治療期間は、動かしたい歯の本数や歯を動かしたい距離によって変わりますが、1年半〜2年ほどかかります。 期間内に治療が終わらない主な原因は、マウスピースの装着忘れによって決められた時間にきちんと装着しないことです。 インビザラインは1日20〜22時間以上の装着が推奨されています。 装着を続ければいいので簡単と思われがちですが、食事や歯磨きをするたびに外す必要があることや、マウスピース自体を清潔に保つために本体を掃除する必要があるなど、実際にやってみると手間がかかります。 大雑把な性格の方には、苦痛に感じることもあるでしょう。 また、矯正治療期間中は数ヶ月に1回ほど歯科医院へ通院が必要になります。 歯の動きの確認やアタッチメントの付け替え、IPR処置などをおこなうためです。 矯正に必要な治療をサボると、期間内に終わらずに治療期間が伸びてしまいます。
出っ歯になってしまった
インビザライン治療で出っ歯になることもあります。 たとえば、患者様の前歯がガタガタだった場合、十分な治療計画を立てないと出っ歯になってしまうこともあります。 「抜歯をおこなわない」 「歯を削らない」 「必要なだけ歯を後ろに移動しない」 など正しい歯並びにならない矯正治療を進めると、前歯のガタつきだけを治すことになり、前歯が前方に出てしまいます。 矯正により出っ歯になるのは、インビザライン治療だけではなく、ワイヤー治療も同じ症例があります。 前歯がガタガタの人は、きちんと診断できる先生に頼むことが大事です。 また、顎の大きさに対して歯の密着度が高い歯並びの患者様が、歯を抜く必要があるにもかかわらず、非抜歯で矯正を行うと、出っ歯になる可能性があります。
想像以上に痛みが強かった
インビザライン矯正は、従来のワイヤー矯正と比べて目立たず、取り外しができる利点がありますが、中には想像以上の痛みを伴うケースがあり、後悔している人もいます。 インビザラインは、透明なアライナーを使用して歯を少しずつ動かしていく矯正方法ですが、歯の移動に伴う痛みは避けられません。特に、矯正開始直後や新しいアライナーに交換した直後は、歯や歯茎に強い痛みを感じることがあります。 痛みに耐えることができず、途中でやめたいと感じる人もいます。 関連記事:インビザラインは痛い?痛みの原因と対処法について 関連記事:インビザラインが痛いからやめたい|対処法と途中でやめるリスク
噛み合わせが合わなくなった
インビザライン矯正によって噛み合わなくなってしまった事例が多くあります。 噛み合わせの不一致は、治療計画のシミュレーションでは反映されず、予期せず起こります。 噛み合わせが合わなくなる理由は主に3つです。 ・マウスピースによって奥歯が沈み込んでしまう ・マウスピースのはめ方によって特定の歯がずれてしまう ・歯の凹凸によって特定の歯が先に当たり、奥歯が噛み合わなくなる 「きれいに並んでいる歯」のみを求めると、上下の歯の位置がズレてしまい、噛み合わせが崩れてしまうことがあります。
満足いく歯並びにならなかった
インビザライン矯正を受けても、満足いく歯並びにならないこともあります。 インビザライン矯正は、マウスピースを被せるだけの矯正治療です。 ワイヤー矯正よりも矯正力が劣ります。 軽度な不正咬合であればインビザライン矯正で歯並びを改善できますが、重度の不正咬合はワイヤー矯正を併用することが大事です。 また、「治療のルールが守られていない」「担当医師とのコミュニケーション不足」などの理由から、満足いく歯並びにならないこともあります。
歯茎が下がってしまった
歯茎が下がり、歯根が露出して老けた印象となってしまうケースもあります。 「歯槽骨の量が不足している」「歯茎が薄い」などの場合に、マウスピース装着によって過度な負荷がかかると、歯茎が下がったように見えてしまいます。 歯肉退縮とも言い、歯冠よりも下にある歯根が露出している状態です。 「歯が長くみえる」「口元が痩せてみえる」などの特徴があるため、見た目の印象が悪くなってしまいます。 また、歯の露出が増えると、歯が細菌に触れるリスクが高まり、虫歯や歯周病のリスクが高くなってしまうこともあります。
歯を削りすぎてしまった
歯を移動させるスペースがない場合は、ディスキング(IPR)することがあります。 ディスキングとは、歯のエナメル質部分を薄く削ることです。 削れる量は、1つの歯に対して、左右0.25mm(全体で0.5mmまで)です。 歯の表面にあるエナメル質を、支障がない範囲で削るため、わずかな切削量にはなります。 しかし、削りすぎると知覚過敏になったり、歯を移動させるのに時間がかかったりするリスクもあります。 歯を削るのは、歯科医師の技術に左右されるため、「失敗しない」「トラブルが起こらない」ことはありません。 健康な歯を削ってしまったことに、後悔している人もいるでしょう。
虫歯や歯周病が悪化してしまった
インビザライン矯正中に、虫歯や歯周病が悪化してしまうケースもあります。 虫歯や歯周病が悪化すると、治療を中断して虫歯や歯周病の治療が必要となり、矯正期間が延びることも。 取り外しが可能であっても、歯磨きやマウスピースのケアなどを怠れば、口腔内や装置の衛生環境は悪化します。 矯正中であっても、「食後にしっかりと歯磨きをする」「マウスピースのお手入れ」などをサボらないようにする必要があります。
ワイヤー矯正よりも費用が高かった
インビザライン矯正は、ワイヤー矯正よりも費用が高くなることがあります。 インビザライン矯正は、保険が適用されず自由診療となるためです。 費用相場としては、ワイヤー矯正(全体矯正)が60〜90万円に対して、インビザライン(全体矯正)が70〜100万円です。 また、「マウスピースの破損や紛失」「治療の進行具合」「歯の状態」によっては、マウスピースを作り直すこともあり、追加費用が必要となることもあります。 費用面が気になる方にとっては、ワイヤー矯正を選択すべきだったと後悔することもあるでしょう。
インビザラインを選んで本当によかったのか疑ってしまう
インビザライン矯正を含め、矯正治療は100%成功を保証するものではありません。 そのうえ、日々の生活に制限が加わり、自由に食事ができなかったり、装着時間を守らなければいけなかったり、苦痛に感じる人もいるでしょう。 治療費用も高額であり、毎月分割払いにしても支払いが困難となる場合もあります。 インビザライン矯正が終わるまでの間、さまざまな葛藤があり、後悔につながるケースもあります。 関連記事 ・インビザラインをつけたまま食事しても大丈夫?注意点まとめ ・インビザライン治療の成功率はどのくらい?失敗しないためのコツ
インビザライン矯正がうまくいかない原因
インビザライン矯正がうまくいかない原因は、医院側と患者側に問題があるケースがあります。
医院側の原因の場合は「不適切な治療計画」「適応症の見極めの誤り」、患者側に原因がある場合は「マウスピースの装着時間が足りない」「通院不足による治療進行の遅れ」などがあります。
インビザラインが失敗する原因と対処方法に関しては、「インビザライン治療が失敗する原因と対処方法」で詳しく解説しています。
インビザライン矯正で後悔しないために!
インビザライン治療で後悔しないためには、経験豊富な歯科医院を受診することが大事です。
歯科医師の指示に従い、治療計画通りに治療を進めれば満足いく結果になるでしょう。
はぴねす歯科川西能勢口駅前クリニック 院長 小西知恵
日本歯科大学歯学部卒業後、東京医科歯科大学の摂食機能保存学を専攻。その後、東京都・埼玉県・大阪府の歯科医院に12年勤務し、2015年にはぴねす歯科石橋駅前クリニックに勤務。2020年7月、はぴねす歯科川西能勢口駅前クリニックの院長に就任。