インビザライン治療中に感じる「空気が入った」という感覚に対して、気になっている方は多いのではないでしょうか?歯列矯正は治療期間が延びると追加費用や体への負担、治療失敗のリスクが徐々に高くなっていくため、「空気が入った感覚」は怖いですよね。

放置していいのか、対処が必要なのか気になるかと思います。他にも以下のようなことで悩んでいませんか?

  • 「治療中に空気が入ったような感覚に陥るのはなぜ?」
  • 「空気が入った場合は深刻な問題なのか?」
  • 「治療中に空気が入った場合の対処法は?」
  • 「空気が入らないようにする対策も知りたい」

インビザライン矯正治療中に空気が入ったような感覚に陥るのは本当に空気が入っているからで、放っておくと後々さまざまな問題を引き起こす可能性があります。

具体的には歯を動かせなくなったり、それに伴い治療期間が延びたり、虫歯のリスクが高くなったりといった可能性が考えられるでしょう。

そして、空気が入ってしまう理由として多いのがインビザラインを装着するときにチューイーという器具を使わずに装着したり、雑に装着したりしているといったものです。

しかし、当然治療中に空気が入ってしまった場合の対処法やそもそも空気が入らないようにする対策も存在しています。

そこで今回は以下のトピックについて解説します。

  • インビザラインの使用時に空気が入る原因はエアスペース
  • エアスペースによる悪影響
  • インビザライン治療中にエアスペースができる原因
  • インビザライン治療中にエアスペースを作らない方法

この記事はインビザライン中に空気が入ってしまう理由やそのまま放っておくリスク、そして治療中に空気が入らないようにする対策についても解説します。

インビザライン治療を始めていて、空気が入ったような感覚を覚えて情報を集めている人や治療を効率的に進めていきたいと思っている方はぜひ参考にしてください。

インビザラインの使用時に空気が入る原因はエアスペース


インビザラインの使用中に空気が入る原因として多いのがエアスペースです。マウスピースと歯の間に隙間ができている状態です。

歯とマウスピースの隙間はある程度は存在しているものですが、特に隙間が大きいものをエアスペースと呼び、大きさによって対処法が変わってきます。たとえば、1mm未満のエアスペースの場合はそのまま治療を進めますが、1mm以上のエアスペースの場合はマウスピースを新しく作り直します。

一般的に1mm以上のエアスペースがあったり、1週間以上しっかりとマウスピースがはまっていない感覚があると治療計画にずれが生じ始めます。そのため、違和感を覚えた段階ですぐに歯科医師に相談しに行きましょう。

エアスペースによる悪影響


エアスペースによる悪影響は主に以下の3つです。

どの悪影響も放っておくと治療が頓挫するだけでなく、最悪の場合、治療を開始する前よりも悪化してしまうこともあります。

歯が動かなくなる

エアスペースがあることで、歯が動かなくなりかねません。インビザライン矯正は歯とマウスピースを密着させることによって歯に力を加えていきます。

しかし、エアスペースができてしまうと、うまく歯に力を加えられないので、歯を動かす効率が悪くなり、放っておくと歯が動きにくくなってしまいます。

治療期間が延びる

エアスペースがあると力が効率的に歯に伝わらないため、治療期間が延びるリスクもあります。エアスペースが小さければ2~3日程度延長するだけで問題がありませんが、エアスペースが大きければマウスピースを新しく作り直さなければなりません。

治療が一時中断され、使用している素材にもよりますが、長ければ1か月以上待たなくてはならないので、治療期間が大幅に延びるリスクについては抑えておきましょう。

虫歯のリスクが高くなる

エアスペースがあると虫歯のリスクが高くなります。なぜならエアスペースがあることで、小さな隙間から細菌が入り、繁殖しやすいからです。

虫歯になると治療期間が大幅に伸びるので、早めに対処しましょう。

インビザライン治療中にエアスペースができる原因


インビザライン治療中にエアスペースができる原因は主に以下の5つになります。矯正治療中にエアスペースができないようにすることが重要です。

歯にアライナーが密着していない

歯にアライナーが密着していないとエアスペースができやすくなります。アライナーとは、3Dスキャンデータを用いて作られた透明なマウスピースのことです。

アライナーは矯正力を働かせることを前提で設計されているため、あえて歯列にぴったりと合うようになっていない部分があります。そのため、適切な方法でインビザラインを装着することが最も重要です。

実際に歯にアライナーが密着しなくなる理由の多くは装着の仕方に問題がある可能性が高いです。こういった背景からも矯正器具を装着するにあたって、スペースがあってもいい部分とあってはならない部分に関してはしっかりと歯科医師に教えてもらうようにしましょう。

アライナーに破損部分がある

アライナーに破損部分がある場合、当然ながら早急に取り替えなければエアスペースが広がっていく一方です。

さらにアライナーが破損していると口の中や歯を傷つけるリスクがあり、傷から細菌が入ってしまう可能性もあります。またアライナーに破損部位があると歯に力を加えにくく、治療効率も悪くなってしまいます。

アライナーを保持しにくい歯の大きさや形態をしている

アライナーを保持しにくい歯の大きさは形態をしている場合もエアスペースができやすい原因になります。アライナーは歯を包み込むように設計されているため、歯の膨隆が少なかったり、生えている歯の高さが低いなどの理由があれば外れやすいです。

アライナーの保持力を高めるためにアタッチメントや歯を動かす順番を工夫して治療計画を作ります。しかし、歯並びによっては保持力を高める工夫ができないケースがあることを認識しておきましょう。

取り外しの回数が多い

アライナーは歯に力を与える装置ではあるものの、柔らかく弾性がある素材でできています。取り外しの回数が多いと変形してエアスペースができやすくなります。

さらに取り外しが多いと、元に戻る力も徐々に弱くなっていくため、歯を動かしにくくなっていくでしょう。また取り外しが多いと装着時間も短くなるので、余計に治療期間が延び、歯を動かせなくなるので、取り外しの回数は意識してなるべく抑えるようにすると良いです。

チューイーを使用していない

インビザラインを装着する際にチューイーというシリコン製の弾性のあるチューブを使わなければエアスペースができやすいです。

毎回チューイーを使ってアライナーを装着するのが面倒で指ではめ込む方がいますが、その場合、歯とアライナーの間に見えない隙間ができやすく、アンフィットの原因になります。

数mmのずれでも、エアスペースができる原因になるので、必ずチューイーを噛んでアライナーを装着するようにしましょう。

インビザライン治療中にエアスペースを作らない方法


インビザライン治療中にエアスペースを作らないようにするには主に以下の4つのポイントがあります。原因に対応した具体的な対策ですので、治療中は以下のポイントに必ず注意しましょう。

アライナーの装着時間を守る

エアスペースを作らない対策として、アライナーの装着時間を守ることが効果的です。具体的にアライナーの装着時間は最低でも一日20時間以上確保しましょう。

外している時間が長いと歯に力が加わらず、動かせなかったり、今まで動かした歯が元の場所に戻ってしまったり、エアスペースができるケースが少なくありません。

アライナーの装着時間を守ることが歯を動かすためにも、エアスペースを作らないためにも重要なポイントです。

チューイーを使用する

インビザラインの装着にチューイーを使用するかどうかでエアスペースを作らない確率が非常に低くなります。チューイーは1つの歯あたりに5回程度噛むことが目安です。

装着する際は奥歯から前歯までしっかりと噛んで密着させるようにしましょう。特に新しいインビザラインに変わった際はより長くチューイーを噛むのが効果的です。

一段階前のアライナーに戻る

新しいマウスピースを使い始めた際に、いつもよりも密着していない、またはエアスペースができていると感じた際は思い切って一段階前のアライナーに戻すようにしましょう。

以前使っていたアライナーに戻ると、治療期間が数日延びてしまいますが、エアスペースを作らないようにする方が非常に重要です。

数日装着して問題なければ新しいマウスピースに変更しましょう。ただし、一段階前のアライナーを利用して治療期間が延びた際はしっかりと担当の歯科医師に報告するように徹底してください。

歯科医師に相談する

インビザライン治療でエアスペースを作らないようにするには、歯科医師に相談することも効果的です。

治療しているとエアスペースができたり、違和感や痛みが生じたりするリスクがあります。そういった症状が出た際には早く相談することで、トラブルを小さな段階で抑えられます。

関連記事:インビザライン矯正中にアライナーが浮く4つの原因と5つの対処方法

まとめ

インビザライン治療中に空気が入るのは歯とマウスピースの間にエアスペースという隙間ができているからです。そして、エアスペースを放っておくと歯に効率的に力を加えられず、治療期間が延びたり、

虫歯になる可能性が高まります。今回紹介したような治療中にエアスペースを作らないようにする対策を実践するようにしてください。

違和感がある場合は歯科医師に相談しに行くのも有効な手段です。早い段階で対処すれば治療計画を大幅に変更したり、さまざまなトラブルを防げるので、諦めずに対処しましょう。

はぴねす歯科院長 小西知恵
コラム監修者

はぴねす歯科川西能勢口駅前クリニック 院長 小西知恵

日本歯科大学歯学部卒業後、東京医科歯科大学の摂食機能保存学を専攻。その後、東京都・埼玉県・大阪府の歯科医院に12年勤務し、2015年にはぴねす歯科石橋駅前クリニックに勤務。2020年7月、はぴねす歯科川西能勢口駅前クリニックの院長に就任。